最終追記:2018年03月01日更新

材木を見た目で選べるようになるのには、ゆうに15年はかかります。

棟梁は、材木を見ただけで、
その木の生い立ちがわかります!

どんな山のどんな場所に生えていたのか、どちらから太陽に照らされていたのか、どのように乾燥されたのかなど、すべてわかるようになります。

例えば、年輪の幅の広い方が南、狭い方が北にあったことを示しています。日光が当たっている分、たくさん成長するからです。年輪ができるのは、日本に四季があることが関係しているんですよ。日照時間によって樹木の成長スピードが異なりますので、夏の成長は著しく、冬はあまり成長しません。その差が、年輪となるんですね。

木を切るタイミングも重要です。夏の成長期。木は、グングン水を吸い上げています。その時に木を切ると、水や栄養分が多いためカビが生えたり虫が入ったりしやすく、木自体の粘りも少ないため傷みやすいのです。冬は水分をあまり吸い上げないので、痛みにくいんですね。木を切り倒した後、枝をつけたまま2か月くらい置いておくと、木自体の粘りも出てきます。含水率もさらに下がって乾燥しやすくなり、削った後の木の艶も違ってくるのです。

年輪の目を見ると、植林かどうかもわかります。植林して手をかけた木は年輪の幅に大きな差がありません。手を入れていない自然に育った木のことを「自生え(じばえ)の木」と僕らは言っています。種から自分で生えてきた木は、年輪の幅がとても狭く細くなっています。自生の木は、植林した木といっしょに柱にするには少し難しく馴染めません。天然の北山杉などは、床柱といって、床の間などに使われました。おもしろいでしょう?これから、切り株や材木を見たら、きっと気になりますよ。

さて、そういった材木の特徴を活かして、どの部屋に、どの木を使い、どう組み合わせるのか、棟梁がすべて考えて配置を決めていきます。

これがいわゆる“手刻み”という手法です。

材木それぞれに特徴があるのですが、木目を読み、癖を知ることで、どちらにねじれやすいのかなど計算に入れたうえで、配置していく匠の技です。

木組は木の癖組なり。人組は人の癖組みなり。

【ながら加藤建築】木組みの話

「木組は木の癖組なり。人組は人の癖組みなり」

とは、法隆寺の鬼と呼ばれた宮大工棟梁の西岡常一の言葉です。人の癖をよく見ながら棟梁として現場の人間をまとめていたからこその言葉ですね。

人間を適材適所に配置して特性を活かすのは難しいのと同じように、

木の癖を知らなければ、手刻みは不可能です。

僕らの目指すいい建築といのは、やはり長く暮らせる家を建てること。今、流行りの古民家再生って、ありますよね。築年数が約100年以上のものを、古民家と呼びますよね。

しっかり木を選び、しっかりとした棟梁の元で建てた日本家屋は、

100年の木を使えば300年、
300年の木なら600年持つ。

と言われています。

メンテナンスさえすれば100年以上持つ丈夫な家をながら・加藤建築は作っています。あなたの孫の代には、古民家として再注目を浴びるかもしれませんよ!