建物は基礎と骨組み

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家を建てる施主さんと家を建てる棟梁が顔と力を合わせて建てるのが本当の家づくりです

匠

快適は不健康?【日本家屋はエコで健康 その2】

匠が物申す vol.7
  • 大工の知恵
  • 家と健康

【ながら加藤建築】快適な家は不健康

昔ながらの日本の家を考えるとき、多くの人が農業をしていたころまで遡ることになります。農家の家屋について、少し考えてみましょう。農家の人は、田畑から土だらけの服で家に帰ってきます。土埃を持ち帰ったはずですが、どうしてシックハウスという現象が起こらなかったのでしょう。

 

段差に見る日本家屋のすばらしさ

家の玄関は当時は、土間でした。そのまま台所に続いており、大きなかまどがありました。京都方面では「おくどさん」と呼ばれますよね。水道が無かった時代には、そこに水瓶(みずがめ)もありました。水を汲んできて、貯めておく必要があったんですね。
野菜を運んだり、水を運んだりするから、外から土足で入れる、広い土間の台所が必要でした。だから、部屋と土間の床の高さがしっかり取ってありました。

しっかり段差があるということは、

土や埃が部屋に上がる可能性が低くなります。

時代とともに床の高さは多少変化していますが、日本家屋の場合は、60cmほどの高さがあります。今のマンションなどは、3~5cmぐらいしかありません。どうしても外の埃が部屋のなかに上がってきますよね。
段差については、フルフラット設計が増えるなど「バリアフリー」が注目され出してきたこととも関係あります。便利にはなりましたが、埃が移動しやすくなったのです。また、洋間が増えたこととも関係しています。
実はふすまや障子などの建具は、とても気密性があるんですね。敷居の溝にしっかり建具が噛み合わさっていて、埃が移動しにくいんです。

【ながら加藤建築】快適な家は不健康

それに対して、クローゼットのレールの場合、床上から約2cmほどの隙間が開いてしまいます。衣類などの埃が、部屋のなかに入りやすいのです。
ガスと水道の普及から、土間の台所がなくなり、同じ高さの独立キッチンへ。さらに、LDKへ。食べるところと作るところが隣り合わせというところまで台所が近づいてきました。そのことで、部屋が湿気やすくなってきたということも考えられるかもしれませんね。

 

家の中に自然の風が流れる日本家屋らしさ

【ながら加藤建築】快適な家は不健康

また、寒さ対策のために、風の流れよりも、気密性・断熱性重視の家が増えました。風の流れよりも、デザイン重視で小さい窓が流行る傾向にあります。
人間が「楽(らく)」や「おしゃれ」を求めるがためにシックハウスに近づいてしまったりムダなエネルギーを消費しなくてはならないようになってきてしまっている気がするのです。

昔ながらの家は、確かに寒い。
でも自然な寒さが人を健康にしているはずです。

冬は寒く、夏は暑い。これは自然なことです。常に快適な温度にしていると、人間が本来持っている体温の調整機能が支障をきたし基礎体力が弱くなる、という話を聞いたことがある方も多いと思います。
僕が設計する場合は、窓をとても大きく取ります。6尺以上の大きな窓にして、風の流れを考えて設計します。もちろん気密性重視の方には、ご希望にもお応えしますし、隙間だらけの寒い家を作っているわけではありませんよ(笑)。

【ながら加藤建築】快適な家は不健康

気密性にこだわり過ぎて、換気扇を回し続けるよりも、自然な外気を取り込めるような、風の流れにこだわる設計を僕はお勧めしたいだけです。

風と光を、どれだけ取り入れられるかで住まう人の健康は大きく変わるはずです。

そして、風通しのいい家は、建材の持ちもいい。「木」も腐りにくいのです。「快適」「便利」を追求し過ぎると、家族の健康を奪うことになるのなら、長い目で見ると、「本当に快適な家」かどうか疑問です。

すきま風があっても、おいしくて新鮮な空気を
運んでくれているのかもしれません。

段差があっても、 それが埃を食い止めてくれ、自分の足腰を動かすための練習になっているのかもしれません。工期が長く建築時に多少のお金がかかっても、土壁が光熱費というランニングコストをおさえてくれるかもしれません。
あなたは、暮らしのどこに「快適」を求めますか?

 

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