建物は基礎と骨組み

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匠

大工から見る~畳の話~

匠が物申す vol.25
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【ながら加藤建築】畳と日本家屋の話今回は、畳の専門家ではないのですが「どうして畳を虫干しするの?」と質問をいただいたので、畳の話をします。

国民的人気アニメの『サザエさん』なんかでも庭に、畳を立てかけて干してあるシーンを見たことがある方もいらっしゃると思います。虫干しするのは、畳のダニ、カビ、埃などの対策のためなんです。天気のいい日に、4~5時間干して、最後に、叩きます。
畳にはいくつか種類があります。「本床(ほんどこ)」と呼ばれる畳は約6cmほどの厚みがあり、中には藁(わら)が使われています。

 

「い草」と「藁(わら)」が湿度を調節

【ながら加藤建築】畳と日本家屋の話

い草と藁が、湿度を調整してくれるので
断然、本床がお勧めなんです

でも手入れは必要です。最近は、どんどん薄くて軽い安い畳が増えてきています。段ボールの圧縮材でウレタンマットを挟んだものにい草を敷いてあるだけのものや、い草の代わりにビニールを使用しているものもあります。気軽に使えますが、安いものは、人が歩く程度の摩擦でもすり減ってくるという、難点もあるようです。聞くところに寄ると、い草の染め方も違うようです。青いほうが高級感があるように見えるためあえて青く染めるという話も聞きます。

本床が避けられるようになったのは、畳はダニやカビの温床という悪い印象が持たれるようになったためです。ダニやカビが生えるのは、

建築方法が変わってきたこと

年に2回ほどの虫干しをしなくなったこと

現代は掃除をする回数も減ってきたこと

などが原因です。昔は、畳の掃除といえば、お茶がらを撒いておい て埃を吸わせてから拭き掃除をしたりもしていました。そういうやり方も知らない人が増えていますし掃除機をかける回数も減ってきているようです。だから、 ダニが発生しやすいんですね。

【ながら加藤建築】畳と日本家屋の話

畳屋さんとしても、ちゃんと手入れしてもらえないなら安いものを勧めておいて、数年後、一式すべて変えればいいと、考えているのかもしれません。

 

消えていく「い草」と「藁(わら)」

今、い草の生産については、80%以上、中国に頼っていると言われています。自然のなかで育った、太さの違うい草を揃えるのが大変で一畳10万円という最高級の畳もあるようです。

本床の畳は、手織りなので時間もかかります。一枚作るのに、二日ぐらいかかると聞いたこともあります。また、昔は、藁が日本中に普通にありました。お米を収穫するときに、昔は稲を手で刈り取って「はざ掛け」などと呼ばれ、天日干しにするのが習わしでした。でも、今は、コンバインなどの大型機械で刈ってしまいます。はざ掛けをすると、干している間に藁に溜まっている栄養素が、米粒にまで行き渡り甘み・うま味・粘りが増す、と言われています。でも、はざ掛けには、人手がいりますし、天候に左右されてしまうので、最近は見かけなくなったんですね。そうして、天日干しにした藁は藁床、土壁、畑の畝にかける敷き藁、草鞋、しめ縄などたくさんの使い道がありました。

生活のなかで「循環」させていたんですね。

【ながら加藤建築】畳と日本家屋の話

藁の使い道である「土壁」を使った家も減り洋室が増えたことで、畳も減るなど、どんどん藁を使う機会がなくなり藁自体も減っていく。悪循環です。
昔の家は広さもあり、庭先に畳を干す場所もあった。今は、その場所もなくなってきていますし核家族化で、一緒に暮らす人数が減ってきたのも虫干しをしなくなった原因かもしれませんね。家屋のことも含め、とにかく、あらゆることに於いて「手入れをして長持ちさせる」という感覚がなくなってきているのを感じます。こうして日本の文化が消えていくのはとても残念なことだと思います。
ながら・加藤建築では土壁などといっしょに、最近は少し畳の良さが見直されつつあると言われています、本当にそうであればいいなと、思っています。

 

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